谷川連峰馬蹄形縦縦走

谷川連峰馬蹄形縦走
@白毛門山:標高1,720m A笠ヶ岳:標高1,852.1m B朝日岳:標高1,945.3m
C七ッ小屋山:標高1,674.7m D武能岳:標高1,759.6m E茂倉岳:標高1,977.9m 
F一ノ倉岳:標高1,974.2m Gオキノ耳:標高1,977m Hトマノ耳:標高1,963.2m

標高差約1,315m  累計標高差約2,779m  歩行距離約26km

行程:土合橋駐車場(4:10)⇒白毛門(6:38)⇒笠ケ岳(7:30)⇒朝日岳(8:36〜8:56)⇒清水峠(10::20〜10:30)⇒
七ツ小屋山(11:20)⇒蓬峠(12:10〜12:25)⇒武能岳(13:10〜13:20:)⇒茂倉岳(15:00〜:15:10)⇒一ノ倉岳
(15:30)⇒谷川岳(16:45〜16:55)⇒西黒尾根分岐(17:35)⇒西黒尾根登山口(18:50)⇒土合橋駐車場(19:10)

※写真を撮ったり景色を眺めて満喫している時間は、すべて歩行時間内です。
 (歩行時間13時間55分:全所要時間15時間00分) am4:10〜pm7:10  yahoo地図 

●2012年は右回りで   ●2103年は左回りで  ●2104年は左回りで

歩行時間は単行動なので調子や気分によって違いますので参考にはなりません

谷川岳の標高は2,000mにも満たないが、急峻な岩壁と複雑な地形に加えて、中央分水嶺のために天候の変化も激しい。気象の厳しさから標高1,500m付近が森林限界となるために、比較的低い標高でも高山植物が観察できます。ロープウェイを使って、一般コースの谷川岳(トマの耳・オキの耳)までの天神尾根コースは、首都圏から近いこともあって多くの登山者が訪れています。本日挑戦した健脚向けの谷川岳馬蹄形縦走コースは、日本百名山の谷川岳を含め、群馬百名山の名峰6峰が含まれる、贅沢な9峰充実縦走コースです。

梅雨時で天候が著しく変わる毎日でしたが、思いの外、私の休日は見事晴れマークに変わります。7月に予定していた谷川連峰馬蹄形縦走コースでしたが、タイミングの良さを感じ、期待感と準備不足の不安感を胸に抱きながら、急遽、決行することにしました。予想以上の気温上昇で、飲み水を節約しながら谷川連峰の素晴らしい景色と爽快感を味わう道中となりました。日帰りで馬蹄形縦走をこなすのは、予想以上の疲労感でした。※朝日岳ですれ違った私と逆周りで周回してきたテント泊のハイカーは、蓬峠先の沢で早朝、2頭の熊を目撃したそうです。(◎o◎)ドキッ

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夕方の関越高速道を飛ばし、まずは、明日のロングコースに備え、湯テルメ谷川でゆっくり温泉に浸かり体をリラックスさせます。コンビニで食事の買い出しを済ませ、みなかみ「湯檜曽公園」駐車場に向かいます。寝付けにハイボールを頂き、今回も車中泊です。早朝に起きて土合口駐車場に移動です。準備を整えam4時10分から登り始めます。早朝のPには3台(車中泊?テント泊?)駐車してありました。2年振りにお目にかかる、谷川連峰馬蹄形縦概念図を目に焼き付け、夜明けの薄暗い山道へと入ります。
橋を渡り少しすると登山道が始まります。最初から急登の連続で、木の根っ子の梯子みたいな登山道をひたすら登って行きます。白毛門までは一挙に標高を1,000メートル上げます。本日はロングコースですので、心拍数を上げないように体が慣れるまでゆっくり歩きます。樹林帯の中は無風状態ですので、早くも水分補給です。“ヒノキのウロ”を過ぎると、徐々に岩場が現れます。
松ノ木沢の頭まで登り込むと、心地良い風と一緒に眺望が一挙に開けます。本日、最終峰の谷川岳の雄姿が正面に聳え立ちます。岩場に立ち、腰に手をやり、見える範囲の景色を楽しみます。道中、随所に高山植物が咲いていますので、本日は写真を撮りながらのゆっくりペース歩きで、楽しみながらも体力温存します。
岩場を過ぎ、残雪の足跡を辿って登って行くと熊笹の藪に入り、行き止まり?仕方なく残雪の下まで下がり、本ルートを確認し一安心です。陽が登るのと一緒に気温も上昇し、白毛門山頂に到着すると谷川方面はガスが掛ってきました。水分を補給し、そのまま笠ヶ岳へと向かいます。
笠ヶ岳まで伸びた稜線には、沢山の花が咲いています。特にムラサキヤシオツツジが艶やかな色彩を放って、咲き誇っていました。笠ヶ岳の最終登りは急勾配になり、大き目な残雪の風景を味わいながら、脇を通り抜けて行きます。
稜線から振り返ると笠ヶ岳との高低差は130mの白毛門が次第に眼下に見えて来ます。笠ヶ岳山頂はガスに覆われ、残念ながら視界不良です。この頂きから眺める谷川岳と馬蹄形の山々を楽しみにしていたのですが・・・。このまま本日はガスにまかれ難儀な歩きになるのでは?と、一瞬頭を過ぎりますが、余計な心配をすぐに打ち消して、前進です。
笠ヶ岳山頂直下には、小さなカマボコ型の笠ヶ岳避難小屋があります。中を覗くと以前はキティーちゃんのマットが敷いてありましたが、今回は普通のシルバーのマットでした。 ガスが抜け始め、小烏帽子・大烏帽子へと伸びた稜線が綺麗に見えてきます。
小烏帽子を越えると、やがて朝日岳方面の素晴らしい景色が開けます。
朝日岳に到着です。三角点とお地蔵様が、離れた場所に祠が祀られていました。本日始めての休憩を取り、菓子パンとゼリー×2で栄養補給です。気が付くと、早くも500mlのペットボトル3本目に突入です。ふと、ザックを調べると飲用の500のmlペットボトルがあと3本。ラーメン&珈琲用で予備の2リットルタンクが、ザックの中にありません!本日は気温上昇の為、飲み水は節約しないとギリギリです。飲み水の残り合計3.5リットルと思いきや、残り1.5リットルのみです。思い立ったように来てしまいましたので、水場情報を確認していません。ですけど、前向きに考え直します。 ※思いつきプラン! @茂倉岳まで1本を必ず残す考え A蓬峠の水場を探す Bコンロで随所にある綺麗な残雪を沸かし、雪で冷やして飲む!おまけにラーメンも・・・以上です。
朝日岳から眺めると、谷川岳を取り撒くガスは抜け、烏帽子・笠ケ岳、後方には谷川岳〜一ノ倉岳〜茂倉岳〜縦走峰が雄大に見えます。
本日、二人目のハイカーと朝日岳で遭遇です。馬蹄形縦走コースを周回してきたそうです。昨日蓬峠でテント泊し、夜明けと共に出発してからまもなく、蓬峠先の沢で2頭の熊を目撃したそうです。物凄い吠声がするので眼下の沢を見下ろすと、走って去っていったとか・・・。そんな貴重な情報をくれたハイカーさんは、なんと奇遇にも私と同じ市内の方でした。朝日岳北側湿原の地塘を見学し、先を急ぎます。※また会うときは市内か?お山か?是非、再来しましょう!
朝日岳北側湿原は木道が整備され歩きやすく、涼しい風が吹き抜けますが、強い日差しが勝っている感じで早くも喉が渇きます。宝川温泉へとの分岐を過ぎ、暫く木道が続きます。
ジャンクションピーク付近からは、上州・越後の山々が見渡せる絶景ポイントです。巻機山の分岐を稜線方向に追って行くと、巻機山がまだまだ遠くに見えます。ちなみに巻機山の看板には・・・『難路・道ナシ』と書いてありました。
百名山の巻機山や、後方には越後の名山、越後駒ケ岳・中岳も遠目に見えます。清水峠までは森林地帯で、一挙に標高を下げて行きます。シーズン前の山道は、荒れ気味で足元が悪く結構歩き辛くなっていました。
清水峠に向かってどんどん下りていくと平地に池塘があり、一ノ倉岳を眺めながら爽快気分に誘われ、一休みです。しばらくするとちょっと形の良い送電鉄塔が見えてきますので、鉄塔の下から見上げます。
やがて白崩避難小屋と頑丈そうな送電線監視所のJR小屋が見えてきます。朝日岳からカーブを描き、七ツ小屋山まで至る稜線の鞍部が清水峠です。清水峠の街道が建設されたのは明治18年9月。急峻な地形に加えて積雪も多く、崩落などにより開通後わずかな期間で廃道となってしまった街道です。現在は登山道として利用されているだけですが、昔は国道と呼ばれていました。
 
白崩避難小屋を覗いてみると、6月なのに異常な気温の為温室状態でしたので、開けた瞬間、熱気と生活臭が漂ってきました。ゼリー補給と節約ミネラル水で喉を湿らせます。
七ツ小屋方面を目指して、鞍部の峠から熊笹道の抉れた山道を登りこみます。見事に風が遮断され、汗が吹き出ます。やがてピークに出るとガスと一緒に冷風が吹きつけ、なんとも心地よい。道中にシラネアオイが沢山咲いていて、元気を頂きます。
登山道が残雪に埋まり途切れていますので、残雪の端を歩いていきますが、どうにも足跡がありません。仕方なく一旦戻り、登山道を探します。残雪越しに稜線を見つけ雪を横断しますが、何故か足跡はありませんでした。やがて尖がり頭の大源太山分岐を通り過ぎます。
こじんまりとした七ツ小屋山が見えてきました。狭い山頂にはご夫婦?らしき方が昼食を広げていますので、挨拶を交わし折角ですので少々会話をします。「日帰りで回っています」と言ったら、「頑張って!」と励まして頂きました。
七ツ小屋山から緩やかに下がって行くと湿地帯があり、木道を越しに地塘もあります。若いキスゲが元気よく咲いていて、しばしのハイキングモードで疲れを癒します。
愈々、蓬峠が近付いてきます。早朝左の沢下で市内のシングルハイカーさんが、熊2頭を目撃した現場付近です。息を凝らし沢一帯を見渡しますが・・・、動物の気配は一切ございませんでした。稜線先の鞍部が蓬峠です。以降は武能岳〜茂倉岳〜一ノ倉沢岳〜谷川岳までアップダウンの繰り返しで標高を再び上げる、左回り最大の難所になります。
蓬ヒュッテに到着し、ここまで根性の水分節約で来ました。一回りしましたが、ヒュッテはまだ無人でした。避難小屋側のドアを開けると、「あらま?」と言う感じですので分岐に戻ります。水場標識を確認!苦しかったけど我慢の節約で残り700mlはキープしています。補充するか迷いましたが、水場まで時間がかかる感じですので、『プラン@ 茂倉岳まで1本を必ず残す考え』に決めます。 弱点の脹脛が毎度以上にパンパンですので、初めて持参した、必殺「ラクールタッチ」で足の筋肉全体にぬり付け、爽快ヒンヤリ状態で再起動させます。
あたり一帯、ミヤマキンポウゲの群生です。土合方面と土樽方面、谷川方面の武能岳・茂倉岳方面への分岐です。最終のエスケープ道としても使われています。
早朝に歩いていた白毛門〜笠ヶ岳〜小烏帽子〜大烏帽子〜朝日岳が沢沿いの正面に聳え立ちます。
振り返ると蓬ヒュッテが小さく見え、七ツ小屋山と尖がり頭の大源太山が見えます。ここまでは緩やかなアップダウンですが、以降は急登が始まります。
武能岳まで近いようでなかなか辿りつけない何とも不思議な感じです。3週間前に痛めた腰に違和感がありましたが、地道に足を止めず、喉の渇きと空腹感も忘れ、楽しみにしている下山後の温泉と、帰着後の生ビールを浮かべたりと、私なりのプラス思考イメージで本日も頑張ります。武能岳山頂に到着ですが、生憎の視界不良でした。
武能岳からは一挙に標高を下げ、再び350m強を茂倉岳へ向かって登り返し、最後の踏ん張り所です。途中、ガスが濃くなったり、薄くなったり、忙しい空模様で尾根越しの景色はとても高度感がありダイナミックに感じられました。
やっと、茂倉岳の標識が僅かにみえますので、今度こそニセピークではありません。2年前に西黒尾根から茂倉岳まで歩いた経験がありますので、先ずは一安心です。ここで待ちに待った最後のミネラルをザックから出し、慎重に少しだけ、ガブ飲みで頂きます。(^-^)!
歩いて来た茂倉岳〜武能岳〜〜〜へ続く稜線が壮大です。本日はいろいろな場所から谷川を望め、且つ歩け、充実感と疲労感を味わいます。
夕方の谷川岳は、ガスの中で遠目に双耳峰がチョコンと見えます。やがて突風が音を立て、ガスを巻き上げながら私の体を横切って行きます。
一ノ倉岳までは平坦な雪渓が続き、もちろん中央の雪の上を歩いて行きます。6月ならではの雪渓ですので綺麗な箇所を探し、手で穿り固めて食べてみましたが、谷川岳の自然の源として想いに残る究極のうまさでした。緩やかな尾根雪を踏みしめながらでしたので、一ノ倉岳には呆気なく着きました。
尾根を登ると一ノ倉岳と小さなかまぼこ型の避難小屋があります。一ノ倉岳頂上付近では、一瞬霧が晴れて青空がのぞいていますので期待をしながら谷川岳へと向かいます。
幸いなことに数分だけガスが切れ、一ノ倉沢と谷川岳に続くノゾキ絶壁沿いの縦走道がお見事です。早々にノゾキまで速足で下がります。
ガスは上空からやって来ました。真上から一ノ倉沢を望み、切れ落ちた絶壁に吸い込まれそうですが、やはり今回も、写真では険しさを表わせませんでした。
奥の院付近で突風と共に霧が巻いてきます。静まり返ったオキノ耳で一休みと思いきや、天候が怪しくなったので先を急ぎます。
今度は夕立まがいの雨が数分ですが、容赦なく降ってきます、レインに着替え、気合いを入れてイザ出陣・・・。 なんと雨は上がっているではありませんか、嬉しいような悲しいような感じで、レインを脱ぎます。濃霧の中、分岐を西黒尾根へと下がっていきます。
道がない!よく見るとガスで隠れた残雪にロープが張ってあり、足跡を辿って下がって行きます。ザンゲ岩の標識も倒れ、道は荒れ気味です。又もや土砂降り雨ですので、またまたレインを装着です。降ったりやんだり忙しく、ガスの動きが風に巻き込まれて目まぐるしく変わり、視界は不良。急坂で難所の岩場や鎖場は大変と滑りやすく、焦りと慎重さが交差し、鎖場は必殺ターザン方式を活用です。
ガスの下に出ると気温が上昇して蒸してきます。もう靴は泥だらけ、日没も近いので苦肉の策、チャッチャカ下がりで先を急ぎます。途中、アクシデント!左耳に小さな蛾らしき虫が、侵入してしまいました。凄い勢いで羽を振動させて、鼓膜が破れそうで、今の自分には残酷すぎます。下りながら頭をゆすったり、指で耳を叩いたり、ライトで誘導しても出てくる気配は一切なし。鉄塔付近でやけになり、頭を振りまわし遠心力でと思ったら、目が回って私の方が転倒してしまいました。
水分欠乏状態ですので、鉄塔を過ぎた水場で1リットル近く湧水をがぶ飲みしました。頭も顔も洗い、冷たい水に感謝!感謝!です。ついでに耳に水を入れて振り回しますが蛾らしき虫は出て来る様子はなく、溺死の模様で静かになりました。再び車道に出てから、谷川指導センターの水場でも美味しい水を頂きます。

楽しみにしていた温泉プラン等は取りやめ、蛾の取りだし作戦を緊急に優先します。地元に帰り、オーソドックスな小型耳かき作戦で見事に排除!近所の浪漫館でゆっくり汗を流し、頑張った体と疲れを癒します。





谷川連峰馬蹄形縦コースの道中に咲いていました。


上記の解説図はロープウェイ使用コースですが、参考までに。

おまけ 

 2年前、白毛門〜笠ヶ岳から戻り、
 谷川連峰馬蹄形コースを日帰りで何時かは挑戦したいと思ってはいました。
 昨年は、なんとな〜く自信が無く実行出来なかったので、
 今年は絶対に挑戦したいと本気モードになり、
 意欲を高め、夏山になるのを待っていました。
 
 
梅雨の切れ間の久しぶりの晴天で、しかも涼しそうな谷川ですので、
 暑さ対策に気が緩んだのが、予備水2リットルタンクを忘れた原因かもしれません。
 結局、食べた物は菓子パン1個とゼリー6個、
 根性の節約で水は3リットルです。飴、チョコ、スティックバー、
 ラーメン、おにぎり等は、食べると喉が急激に渇くので結局、お持ち帰りになりました。

 ほぼゼリーだけの補給で、馬蹄形縦走移動距離約26kmを日帰りで歩けたのは
 「早起きと
気力と体力、天候プラスα、怪我無く、谷川を愛す」がポイントだったと思います。


天候 : 晴れ→ガス→晴れ→ガス→雨→曇り(梅雨時の谷川連峰は忙しい天候)
出会った人=前半8人 後半貸切 合計8人。
全く当てにならない疲労度★★★★
(帰着後筋肉痛の為、大量の湿布にお世話になりました。)

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