表妙義山縦走 2012年11月9日

白雲山 標高1,104m  金洞山 標高1,094m  標高差約765m  歩行距離約12.2km

行程:道の駅みょうぎ第2P(6:45)⇒妙義神社登山口(6:55)⇒大の字(7:26〜7:36)⇒奥の院分岐(7:40)⇒
奥の院(7:51)⇒見晴(8:04)⇒玉石(8:10)⇒大のぞき(8:20)⇒天狗岩(8:40)⇒
タルワキ沢のコル(8:53)⇒相馬岳(9:08〜9:13)⇒国民宿舎分岐(9:20)⇒茨尾根ピーク(9:53〜10:00)⇒
堀切(10:06)⇒女坂分岐(10:20)⇒鷹返し(10:40)⇒第四石門との分岐(11:03)東岳(11:08〜11:13)⇒
中ノ岳(11:23〜12:28)⇒第四石門(11:52〜12:12)⇒第二見晴(13:15)⇒道の駅妙義第2P(13:40)

(歩行時間5時間3分:全所要時間6時間55分) am6:45〜pm13:40   yahoo地図  mapへ
歩行時間は単行動なので調子や気分によって違いますので参考にはなりません
妙義山は、赤城山、榛名山とともに上毛三山に数えられています。妙義荒船佐久高原国定公園の中心的な山で、険しい岩峰の尖った姿が特徴的です。日本三大奇勝の一つでもあり、国の名勝に指定され、日本百景に選定されています。また、妙義山は白雲山・金洞山・金鶏山・相馬岳・御岳・丁須ノ頭・谷急山などを合わせた総称で、南側の表妙義と北側の裏妙義に分かれています。表妙義には、気軽に登れる「石門めぐり」と自然を満喫できる「関東ふれあいの道(中間道)」、そして体力と経験と度胸が必要な「表妙義山縦走」コースがなどがあります。本日は最も難易度が高い「表妙義山縦走」コースを楽しみました。
妙義山は今回で多分、二桁の訪問になったと思います。金洞山と白雲山は別々に登った事があります。帰路は中間道を歩く、周回コースを楽しみました。紅葉シーズンになるまで温存していたコースだけあって、心地良く且つ、パワフルでスリリングな山歩きを楽しめました。※鎖場が連続する上級コースは、谷川岳に次いで滑落事故が多いようです。

「道の駅みょうぎ」の第二駐車場(登山者OK)に車を置き、支度を整え、出発です。 妙義神社の鳥居をくぐって参道を登って行きます。本殿前を通過して進んで行くと、神社境内で数人の方がストレッチをしていました。

登山届入れが置かれている登山口から、樹林帯に囲まれた登山道に入り、標高を上げて行きます。緩やかな鎖場を登りきると大の字の登り口です。大の字直下から2本の鎖が下がっています。先行者が下がって来ますので話をすると、「表妙義縦走は今回で4回目で慣れているんですよ」と、越後の達人おじさんが仰っていました。有難い事に、縦走に当ってのアドバイスを頂きました。

大の字からの眺めは素晴らしく、上毛三山の赤城山や榛名山の景色が広がっています。ザックを下ろして、果汁100%のオレンジジュースとスティックバーを頂きます。
今から向かう、紅葉に染まった白雲山を見上げます。眼下は出発地点の「道の駅みょうぎ」方面で、標高を大分上げた事がわかります。駐車場で挨拶を交わした、練馬ナンバーのジムニーでお越しの若者2名が大の字に到着しました。私と同じ表妙義縦走だそうで、金洞山へ向かうのは4名になったので少し心強く感じました。若者を後にして奥ノ院へと向かいます。
振り返って大の字です。若者が寛いでいる姿が見えます。徐々に白雲山の紅葉ポイントへ入って行きます。
大の字より少し歩くと、中間道との分岐に出ます。白雲山方面は難易度が高く、ペンキで「キケン上級コース」と書かれています。やがて、巨石に挟まれた造りの奥の院が目の前に現れ、梯子を登って行くと石碑が祭られています。
奥ノ院右下の岩壁から三連30mの鎖が垂れ下がり、いよいよスリリングな上級コースが始まります。今回で2回目ですので、私的には難なく登りこみます。しかしながら、白雲山の鎖場の中では、恐らく難易度が一番高い鎖場だと思います。
鎖場を登り上がって眼下を見ると、途中で追い越した越後の達人が登って来ます。斜面に付けられた鎖を手すり感覚で登って行きます。
鎖場を越えていくと見晴良い「見晴し」に到着です。先行者が2名いますので話をすると、相馬岳までのタルワキ経由で下山とおっしゃっていました。なんと一人の方は80歳近いとか・・・(゚O゚)!入山禁止区域の金鶏山が見えますが、登っている方は多分にいますので、何時かは登りたいな〜と、勝手に思っています。
今度は一枚岩で出来た岩場ですが、きっかけが無いので溝の根っ子を掴みながら登ります。オールドハイカーさんも木の根っ子を掴んで登って来ます。ビビリ岩と呼ばれている岩場ですが、ホールドが多くあるので難なく登れます。マウスを合わせると登って着たビビリ岩です。次のピークへは一旦、北側を下りで回り込むように稜線に戻ります。
登り上がった尾根の左手前に岩陵があります。ここが「白雲山」と書かれていた頂きです。何の印も無いので、殆んどの登山者は通過してしまう場所です。岩を登り上げると頗る景色が良い場所で、錆びた標識には白雲山の文字は既に風化して無くなっています。大の字⇔相馬岳の日の目を浴びない新しい看板が貼られているだけです。※一般的には玉石、大のぞき、天狗岩、相馬岳周辺の総称を、白雲山と呼んでいます。
「大のぞき」に向けて登ります。鎖場を1ヶ所通過して、嶽三社大神の石碑の建つ「大のぞき」に到着です。 
「大のぞき」ピークから目の前には、これから通過する「天狗岳」は100m以上の断崖絶壁が現れます。コースは巻いて登るので、絶壁は通過しません。
嶽三社大神の石碑の建つ「大のぞき」から、長い鎖が下まで垂れ下がっています。後続の若者が、おじさんハイカーを追い越して大のぞきに到着です。
すべり台状の長い鎖場を一挙に下がります。大のぞきから7mほど下降した所で左側にトラバースし、さらに7mほど下降します。ここまでが一段目の鎖場で、次の二段目が有名な、滑り台状三連30mの鎖場です。傾斜はきつく無いので落ち着いて下りれば特に問題はありません。

途中で大のぞきを振り返ります。大のぞきのキレットから天狗岳への登りに鎖場はありませんが、樹林帯の急坂でした。天狗岳ピークで少々休憩タイムを取り、先を進みます。
天狗岳を過ぎてから眼下のワイルドな絶壁が、ダイナミックな紅葉に染まっていますのでしばらく立ち止まり眺めます。素晴らしい光景を目にして、すっごく感動しました。後方は裏妙義です。
分岐地点の「タルワキ沢のコル」です。白雲山と相馬岳目的の登山者は、この分岐から中間道へ下がって行きます。雑木樹に囲まれた山道から、天狗岩を振り返ります。
9時08分、相馬岳(1,104m)に到着です。相馬岳は白雲山の南西端に位置し、表妙義の最高峰です。細長いピークで表妙義縦走路では最も広く、三角点が埋められた山頂です。今から向かう金洞山の特異な鋭峰を眺め、貸切の山頂でひと息です。
直下の石が積み重なった急斜面や、滑りやすい大岩の斜面と、もろい木の根や浮石、落ち葉などがあるので、慎重に下がって行きます。国民宿舎(相馬岳コース)との分岐を通過して行きます。※「バラ尾根」は荒れ気味で、最小限の鎖しかありません。
途中、真っ赤に染まった紅葉が眩く輝いていますので、しばらく立ち止まり、ひと息です。
バラ尾根は殆ど左右どちらかを巻いているコースですが、唯一「バラ尾根ピーク」は稜線上のピークになっています。素晴らしく眺めが良いので、カレーパンと果実ジュースを頂きながら景色を楽しみます。裏妙義の後方は鼻曲山〜浅間隠山。
中間道との分岐の「堀切」のコルです。先を進んで行くと3人組と初めてすれ違います。金洞山経由で堀切から中間道へ下がるそうです。すれ違い様、先頭のおじさんが浮石に足を取られ、転んでいました。正面には鷹返しが取り付く岩峰が見えて来ます。途中、15mのトラバースの鎖があります。
素晴らしい紅葉を見ながら、狭い稜線を進んで行きます。妙義山の紅葉は本当に綺麗で、見応えがあります。
国民宿舎(女坂)との分岐を通過して行くと、本日最大の難所、「鷹返し」に突入して行きます。最初の鎖は短いですが、上部に岩コブが出っ張っていますので、見た目より少し手強かった感じです。
鉄の梯子は傾斜が緩いので、然程高度を感じませんでした。槍ヶ岳に掛かる鉄梯子と比べれば、楽勝だと思います。梯子を過ぎると、短い鎖で左にトラバース気味に登ります。
直ぐに「鷹返し」の基部に回り込みます。 急峻なリッジとなった主稜上の小岩峰の鷹返し核心部に入ります。 この先4段の鎖場が続きますが、其々途中にひと息つけるスペースがあります。1段目と2段目の鎖場は、ウォーミングアップ程度でした。

白雲山から幾つもの鎖場を越えて来たので高度感に慣れたのか定かではありませんが、3段目のロングな鎖場も思ったより傾斜が緩く、岩場に足が良く掛かりますので、高度感が余りないまま通過です。


4段目の足場スペースから、3段目の鎖場を見下ろします。最上段の4段目を登り終わると、右にトラバースして行きます。
鷹返し最上部の鎖の支点がある場所です。後方に白雲山を望みます。巷で「鷹返し」と呼ばれている難所の鎖場でしたが、通過してみると然程緊張感はありませんでした。ホールドが多くあり、登り易かったので呆気なく終了した感じです。
次のピークの頂きから、金洞山を望みます。中ノ岳山頂に人影が見えますので、アップで写してみると年配の夫婦がいました。トラロープが意味不明に張られた鷹戻しの次のピークこそ高度感を味わう場所で、肩の下が急なルンゼとなっており、中間に大テラスのある2段25mの鎖場です。

上段の垂直に近い鎖は、太い鎖と普通の鎖が計2本下がっています。折角ですので、最初は両方持って懸垂下降で足場を確保しなが下がってみました。ほぼ垂直で、腕力が必要なワイルドな鎖場です。上段を終了すると、下段とのテラスは広く、ひと息付けます。下段は垂直では無い為、上段より高度感はないもの、足場のきっかけが少なかったので長く感じました。私的には、表妙義縦走コースの中で一番難易度が高く、腕力も使った場所です。


先へ進むと、第四石門と金洞山との分岐になります。しばらくすると、眺望の良い東岳に到着です。石門群と中ノ岳駐車場が大分近く見えてきました。
振り返ると、鷹返し次の難所の垂直の鎖場を、後続の若者が7割位下がっていました。この場所から見ると角度があり、高度感を味わう難所だと良く分かります。
垂直鎖場の通過風景のアップです。先に下りた若者は下段の鎖に入っていますので、紅葉に隠れて気味です。左の写真が上段の鎖場で、右の写真が下段の鎖場です。
コブ岩を越えると馬の背風の鎖場になります。 次の岩峰ピークに登り、周辺の景色を見渡すと、中ノ岳がかなり近づいてきました。
11時08分、金洞山(中ノ岳)山頂に到着です。祠の後方は裏妙義山で、後方は浅間山〜鼻曲山〜浅間隠山方面です。荒船山を始め、西上州の山並みも見渡せます。マウスを合わせると、眼下の石門群と金鶏山です。
中ノ岳から、本日最後の難所になる上段と下段の鎖場を下りて行きます。足場を確保しながら下がれば長い鎖も特に問題はありません。下がり終わると、眼下に中ノ岳駐車場が真下に見えます。石門群にある「天狗のひょうてい」のアップで撮影です。沢山の人達が楽しんでいるのが見えます。
振り返り、中ノ岳鎖場の全容です。上段の方は角度が急で、下段は少し緩やかな鎖場です。※マウスを写真に合わせると鎖の軌道が分かります。トラロープの張られた箇所を下がり、普通の鎖場を通過すれば、本日の鎖場&岩場は終了です。後は紅葉観賞をしながら第四石門へと向かいます。
先程、中ノ岳山頂で遠目に見えていたご夫婦が、第四石門手前で休んでいました。話をすると旦那さんは若い時、表妙義の縦走をした事もありますよ!と言っていました。奥さんは綺麗な方で笑顔が印象的でした。
11時53分、第四石門広場に到着です。紅葉期の昼時ですので、沢山の方が寛いでいます。日向のベンチはほぼ満席ですが、東屋の中は空席がありましたので腰を掛け昼食です。
20人位の団体と数組のグループで大変賑やかな憩の場になっています。カップヌードルを美味しく頂き、早々と撤収する事にします。
石門群周辺も紅葉真っ盛りです。あまりの人混みで天狗のひょうてい方面は渋滞していますので、大人しく中間道を歩いて妙義神社方面へ帰る事にします。
先程まで歩いていた金洞山方面を見上げます。中間道に入ったら大変静かな道に変わり、すれ違う人も疎らになって来ました。
出発地点の道の駅みょうぎの第二駐車場と、第四石門との標高差は430m位あります。標高を下げながら進行していく事になりますので、紅葉の中の楽々ハイキングです。
中間道の紅葉も日射しを浴びて見応えがあります。先程のワイルドな表妙義縦走歩きからのギャップも面白く感じます。
中間地点の本読みの僧です。何故か、谷川ロープウェイの「土合口⇔天神平」のキップが祀られていました。第二見晴から金洞山を見納めです。
第二見晴らし周辺で、中間道唯一の団体さんと遭遇です。第一見晴らしから、日帰り温泉「みょうぎもみじの湯」を望みます。
13時40分、予定よりも早い時間に「道の駅みょうぎ」の第二駐車場に帰着です。若者2人組の黄色いジムニーは無かったので、予め中ノ神社駐車場に1台置いて来たのでしょうね。「妙義ふれあいプラザもみじの湯」へで温まり、疲れを癒します。
 
おまけ 

 紅葉時期に予定していた表妙義縦走コースを、晴天の中、緊張感を味わいながら心地良く歩けました。
 当初、道の駅妙義駐車場
か中ノ岳駐車場とのどちらをスタートするか考えましたが、帰路の中間道で
 標高を下げながら歩けるコースの、白雲山から金洞山経由にしました。
 白雲山と金洞山は以前に単発で登ってますので、気分的に安心なスタートでした。

 以前の金洞山では、小雨とガスの中、中ノ岳を通過して東岳の先から全くの視界不良になり、
 南も北も分からなく、少し迷ったあげく、第四石門へのエスケープ道を下がって来た記憶があります。
 予定していた鷹返しまで辿り着けなかった事が残念で、心残りとなりました。
 それ以来、リベンジする日は「絶対晴れ!」が、条件でした。

 表妙義縦走コースには危険な箇所が多くありましたが、体力と腕力と経験と度胸があり、
 高い所が苦手では無い方でしたら、慎重に行動すればさほど難しくは無いと思います。

 このコースで唯一、高度感があったのは、鷹返しの次の垂直に下がる鎖場です。
 必要以上に腕力を要する場所で、私的に難易度の一番高かった鎖場だったと思います。

 今回の縦走コースは、危険な箇所が多くありますので、
 ちょっとした油断でも滑落事故を引き起こす可能性は否めません。
 

 天候・晴れ主体でした
 出会った人=表妙義縦走路8人  石門周辺100人位  中間道25人位
 全く当てにならない疲労度 : ★★★☆☆

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